屋根には、瓦屋根・スレート屋根・金属屋根などがあり、屋根材の種類によって耐久年数やメンテナンス方法が異なります。どのような工事や作業工程があり、工事日数は何日くらいになるのか、解説しますのでご参考にしてください。
屋根は外壁とともに、風雨などから住宅を守っています。屋根は、築年数が経過するにつれて、どうしても劣化が進みますので、修理が必要です。屋根修理をしないと、建物の躯体を傷めたり、雨漏りしたりするなど、住宅の寿命を縮める原因になります。
業者との打ち合わせで工事内容が決まったら、工事日数の説明も受けますが、同じ工事内容であれば必要な日数はほぼ同じです。必要な作業工程や工事日数などを、前もって把握しておけば、屋根工事業者との商談も円滑になるでしょう。
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屋根修理の工事日数に影響するさまざまな要因

屋根葺き替え工事を例にしても、さまざまな要因による影響で工事日数が変わります。人員を確保して、1つの作業工程を1日で終わらせるための段取りを組むこともありますが、屋根工事の日数が伸びる要因は次のようなことです。
- ・屋根面積が広い
・屋根形状が複雑である
・屋根勾配が急である
・1階にも屋根がある
・屋根下地などが劣化している
・既存の屋根材が瓦などのため撤去に手間がかかる
・車の出入りや駐車スペースの確保に問題がある
・工事現場が作業しにくい環境である
屋根形状に関しては、切妻造に比べ、寄棟造や入母屋造などは形状が複雑なため、工事に時間がかかります。また、屋根が2階部分のみの総二階建てに比べて、1階部分にも屋根がある建物も工事に時間がかかります。1階部分の屋根では、雨押え板金が必要になり、屋根材の加工も多くなるため、手間がかかるのは当然です。
屋根は、垂木(たるき)に野地板という下地板が張られ、その上にルーフィングと呼ばれる防水シートを敷いてから、屋根材本体が施工されます。
通常の屋根葺き替え工事では、ルーフィングの張り替えは行いますが、野地板の修理は状況次第です。野地板には、杉板や合板が使われますが、傷みが進んで腐ったり、合板の接着強度が低下したりしている時は、補強工事が必要です。
屋根葺き替え工事に必要な平均日数は1週間程度

屋根葺き替え工事にかかる日数は、建物や現場環境などの違いにより短くなったり長くなったりしますが、一般的な戸建て住宅では1週間程度です。使用する屋根材の種類や工法の違いなどが、工事日数に影響します。
それから、工事期間中の天候は、工事完了までの日数を左右する要因です。そのため、順調に屋根工事を進めるには、工事時期などを考慮すべきですが、天候のよい時期には工事が集中しやすいでしょう。
屋根葺き替え工事における作業日数の内訳

屋根葺き替えでは、次のような作業工程で工事を進めるのが一般的です。作業工程と作業にかかる日数を大まかに示します。
- 1. 足場組み立て 1日
2. 既存屋根材の撤去作業 1日
3. 野地板の増し張りや張り替え 半日~2日
4. ルーフィング張り替え作業 半日
5. 屋根材の施工 1日~2日
6. 足場解体 1日
野地板の補強では、既存の野地板の上に新しい野地板を重ね張りすることが多くなります。これを野地板の増し張り、あるいは重ね張りといいます。この方法だと工期短縮になり、野地板を撤去したり処分したりする費用がかかりません。ただし、野地板の劣化が進んでいる場合は、下地としての機能を果たさないため、既存の野地板を撤去した上で張り替え工事を行います。
野地板の補強工事に関しては、補強が必要な範囲や、増し張りになるのか張り替えになるのかなどで、工事日数は変わります。また、野地板の補強が不要なこともあるでしょう。
屋根カバー工法であれば工事日数は短縮する

屋根修理工事には、既存の屋根材を撤去せずに、上から重ね張りする工法があります。この工法は、屋根カバー工法もしくは屋根重ね張り工法などと呼ばれています。屋根カバー工法のメリットは、既存屋根の撤去費用がかからないことや、工事日数を短縮できることなどです。
屋根カバー工法で屋根修理ができるのは、既存の屋根が化粧スレートであるか、平葺きや立平葺き、瓦棒葺きのトタンなどの場合です。瓦葺き屋根や特殊な形状の金属屋根では、カバー工法による屋根修理はできません。
それから、野地板が劣化している可能性があるときは、屋根カバー工法はお勧めできません。なぜなら、野地板が劣化していては、屋根材をしっかりと固定できないからです。
屋根カバー工法には、下地の状態を確認できないことや、劣化した屋根材を残すことになるなど、デメリットもあります。下地の状態を確認せずに重ね張りして、あとから雨漏りなどの不具合が発生すると、修理に手間がかかります。撤去が必要になると、重ね張りをした分、撤去費用がかかる上に、新しい屋根材に葺き替える必要があるため、2重の失費です。
屋根カバー工法では、通常の屋根葺き替えをするとき以上に、慎重に検討する必要があるかもしれません。
瓦葺き屋根の葺き直し工事では工事日数が加算される

瓦葺き屋根の場合は、葺き替えではなく、現在の瓦を再利用する葺き直しによる屋根修理を行うことがあります。葺き直し工事でも、一部の瓦だけを新しく補充することはあるでしょう。瓦葺き屋根の葺き直しでは、瓦を再利用するため、葺き替え工事以上に計画的で慎重な作業が必要です。そのため、通常、葺き直し工事は葺き替え工事よりも工事日数が長くなります。
釉薬を塗ってから焼き上げる陶器瓦の寿命は、50~100年と言われています。つまり釉薬瓦であれば、半永久的にメンテナンスが不要です。ただし、下地材の交換は必要であり、この時に行うのが屋根葺き直しです。葺き直しでは、一旦屋根瓦を下ろしてから、野地板や防水紙の交換・補修をします。漆喰の耐用年数は約20年ですので、同じく寿命が20~25年程度である防水紙と合わせて、メンテナンスをすることになります。
ちなみに、釉薬を塗らないで焼き上げるいぶし瓦の寿命は、30~50年です。セメント瓦は製品にもよりますが、塗装が10~15年ごとに必要となり、寿命は30~40年程度でしょう。
屋根塗装工事では工事日数が2週間程度になることも

屋根塗装では、高圧洗浄をした後や、下塗り・中塗り・上塗りなどの各塗装工程の間に乾かすための時間が必要です。乾きやすい塗料を使い、計画的に塗っていても、乾くまで待たなければなりません。
また、塗装では、養生や下地処理などの工程があります。養生とは、余計な所に塗料が付かないように、ビニールシートなどで保護する作業です。そして、トタン屋根が錆びていたら、ケレン作業により錆を落とさなければなりません。屋根材の劣化が酷いときは、そのまま塗ることはできませんので、部分的な張り替えが必要です。
屋根塗装工事では、一般的に次のような工程で作業をします。
- 1. 足場組み立て 1日
2. 屋根洗浄 1日
3. 下地処理 1日以上
4. 養生 1日
5. 塗装(下塗り・中塗り・上塗り) 3日以上
6. 縁切り・手直し 1日~2日
7. 養生撤去・足場解体 1日
※縁切りは、カッターなどで行う場合は上塗りの後、タスペーサーを取り付ける場合は下塗りの後です。いずれも化粧スレート屋根における作業工程です。
屋根塗装工事では、乾かす時間があるため、天候がよければ塗料の乾きが早く作業が順調に進みます。悪天候であれば中断することになりますが、葺き替え以上に工事が遅れる可能性があるでしょう。
化粧スレート屋根の塗り替えでは縁切りやタスペーサー取り付け作業がある
化粧スレート屋根では、カッターや皮すきによる縁切り、もしくはタスペーサーを取り付ける作業工程があります。
縁切りとは、塗装が終わった後に、化粧スレートが重なっている箇所を、カッターなどで切り込む作業です。塗り替えにより化粧スレートの重なっている箇所が塞がれると、通気性が悪くなったり、侵入した雨水が排水できなかったりといった問題が生じ、かえって屋根を傷めます。そのため、化粧スレート屋根の塗り替えでは、縁切り作業という工程があります。
タスペーサーは、スレート材が重なっている部分に差し込み、隙間を作るための部材です。タスペーサーは、下塗が完了した時点で、屋根に取り付けます。タスペーサーを取り付ければ、カッターなどによる縁切りが不要となり、塗装して仕上がったばかりの屋根の上で作業をする必要はありません。タスペーサーを取り付ける方が、作業時間を短縮できます。
なお、縁切りやタスペーサー取り付けは、すべての化粧スレート屋根に必要というわけではありません。例えば、築10年以上の家では、直射日光などの影響でスレートが反ってしまい、自然と隙間ができ、タスペーサーを固定できないことがあります。
縁切りの必要性や方法は、化粧スレートの種類や屋根の傾斜、使う塗料、2回目の塗装のため塗料の厚みが増しているなど、さまざまな要因から判断する必要があります。
部分的な屋根修理工事
屋根修理では、全面的な葺き替え工事をするだけでなく、部分的な補修工事をすることがあります。補修工事の場合は、屋根の損壊状況などにより工事日数は変わります。次に挙げる項目は、よく行われる屋根の部分修理です。
- ・ 棟板金の交換工事
・ 瓦葺き屋根の棟瓦の直し工事
・ 瓦葺き屋根の漆喰補修工事
・ 雨樋交換工事
部分的な屋根修理には雨漏り修理もありますが、この場合は十分な調査をして再発させないことが大切です。工事日数に関しては、必要な工事内容によって大きく変わるでしょう。
まとめ
屋根修理業者が違っても、工事内容が同じであれば、工事にかかる日数や作業工程は、特別な事情がない限りそれほど変わりません。工事日数が長くなったり短くなったりする要因は、どちらかというと屋根の状態です。
また、屋根修理工事は、できるだけ短期間で完了させてほしいと思うかもしれませんが、確実な施工をしてもらうことが重要です。
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